【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「エミリぃぃ!おーい!」


そんな、私みたいな存在すら飲み干そうとするような暗闇の中を、光のような声が切り裂いた。


「片岡ぁ!いるなら返事しろー!」


「片岡さん!どこー?」


その光のような声はひとつじゃない。何個もの光が、強く、強くこの暗闇を切り裂くんだ。


目の前は言葉通り真っ暗なのに眩しくなるのは、そうか、私が、捨ててなんかいなかったからなんだ。


気付いてしまったら、呼び戻してはいけないと理性が警告しても止まらない。


「ここ……です!私、ここに……!」


力の限りの声を出した。その、せき止めようもない波と共に、喉から絞り出した。


私は捨てていなかった。心を、感情を。


そうじゃなきゃ、こんなに、こんなにも彼等が読んでくれることを喜ぶ自分がいるわけがないのだから。


嬉しい、嬉しい、嬉しい。


ずっと重たい蓋の中に閉じ込めて来た感情は、もう閉じ込めることは出来ない。
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