もう君がいない
Chapter.1 〜 動き出す針 〜

平凡な毎日



「茉菜、おはよ。」


いつものように、私より先に来てる光貴。



「おはよ〜。ごめんね、待った?」


いつもと同じ、私のセリフ。


そして、光貴の次の言葉は、



「俺も今来た。」


うん、これ。


私達の待ち合わせ場所の駅前。


私、櫻井茉菜(さくらい まな)の彼氏、宮下光貴(みやした こうき)は必ず私よりも先に来て、私を待ってくれてるんだ。



そして、いつものように、光貴があたしの右手を握る。


手をつないで、並んで歩く。


駅のホームに降りると、同時に電車がきた。



「あ、光貴空いてるよ。」


運良く空いていた席に、光貴と並んで座る。




「クラス替えどうなるかな〜?」


「どうせ茉菜は、それが気になって眠れなくて、今日の朝寝坊したんだろ?」


「えっ!なんでわかるの?」


「バーカ、何年一緒にいると思ってんだよ。」



そうだよね。


中学で出会った光貴。


私達は高2になったから、もう今年で出会って5年目か。


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