もう君がいない
短い返事をした後、蓮はうつむいて、私に背中を向けて立った。
もしかして、、
蓮、泣いてるの?
蓮の肩が、かすかに震えている気がした。
やっぱり、今すぐに抱きしめてあげたい。
そんな風に感じさせてしまって、本当にごめんね。って謝りたい。
でも、それはやっぱり叶わないこと。
今の状況で、そんなことは出来ない。
絶対にしてはいけない。
もどかしかった。
蓮を安心させてあげたい。
一人で泣いている蓮を、苦しんでいる蓮を、少しでも楽にしてあげたい。
なのに私には、それができない。
悔しかった。
悲しかった。
さっき、お母さんとおばさんに、蓮のことを頼まれたばっかりなのに。
もうすでに、私が蓮を傷つけてしまっている。
私は、震える蓮の背中に、
「ごめんね。本当にごめんなさい。」
と、心の中で何度もつぶやいた。
蓮に、届いたかな、、?