もう君がいない


駅が見えたとき、改札口の前に、亜衣ちゃんがいるのが見えた。


、、まずい。

私はとっさにそう思い、蓮の傘から飛び出ちゃおうかとしたけど、、


亜衣ちゃんと、目が合った。


亜衣ちゃんは一瞬、びっくりしたように目を見開いたけど、すぐにその表情は曇る。

そして、駆け足で改札を通って行ってしまった。



「茉菜?聞いてる?」

「えっ?あ、ごめん。なに?」

「いや、別にいいけど。」


隣で話しかけてる蓮の声さえ耳に入らないほど、私はひどく焦っていた。


今まで、蓮と一緒に帰ることはあっても、亜衣ちゃんに見られることはなかったから。

しかも、初めて見られたときに限って相合傘とかしちゃってて。


亜衣ちゃん、きっと怒っただろうな。

私は亜衣ちゃんの気持ちを知ってるのに、こんなことしてるんだもん。


そりゃあ、良い気はしないよね。


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