もう君がいない
電車を降り、駅を出て、また一つの傘に肩を並べて入る。
さっきまでと何も変わらないはずなのに、蓮に掴まれていた腕のせいで、妙に緊張してしまう。
、、こんなに近かったっけ?
一度意識しだすと、蓮との距離の近さに、どんどん緊張が増していく。
「ちょっ、!」
いきなり蓮に右腕を引かれ、右に動いた。
突然だったし、変に意識してたから、自分でも驚くほど大げさに反応してしまう。
「なっ、なに?」
「何って、水たまり。」
「えっ?」
蓮の目線を追うと、さっき私が歩いてた目の前に、大きな水たまりがあった。
「あ、、ありがと。」
「ん。あんまぼーっとすんなよ。」
そう言って、蓮は私の腕を離した。