もう君がいない
「茉菜が目をそらす時は、照れてる時と嘘ついてる時。」
「えっ、、?」
「照れるとこなんか無かったから、今は嘘ついてる。」
蓮はフッと優しく微笑んだ。
「茉菜のことなら何でもわかるって言ったろ?話したくないなら無理には聞かないけど、あんま一人で溜め込むなよ?茉菜の悪い癖。」
「蓮、、」
「俺じゃなくてもいい。美雪ちゃんでも、光貴でも。みんな茉菜の味方だろ?」
私は、泣きそうになった。
蓮の言葉に、優しい口調に、暖かい笑顔に、
自分のドロドロした心が、少しだけ楽になっていく気がした。
本当に蓮にはかなわない。
「ありがと。」
蓮の目を見てそう言うと、蓮は変わらず優しい笑顔で、
「強がってるけど、本当は泣き虫。」
そう言って、私の頭をポンポンと撫でてくれた。
「帰るぞ。」
「うん!」
さっきまでの悶々とした心の雲が消え、雨が降ってる空とは反対に、私の心には晴れ間が見えた。