もう君がいない
喧嘩
「茉菜ちゃん、ちょっといいかな?」
「なに?」
「二人で話したいんだけど。」
「うん、いいよ。」
昼休み。
突然私のところに来た亜衣ちゃん。
昨日のことだとすぐに察しがついた。
昨日、蓮と相合傘して帰ってたことだと。
いつも通りの亜衣ちゃんだけど、その目だけは全然笑ってなかったから。
亜衣ちゃんに連れられ屋上に来ると、ほとんど人はいなかった。
ずっと私の前を歩いてた亜衣ちゃんが、立ち止まり振り向く。
「昨日のことなんだけど、」
ああ、やっぱり。
「うん。」
「昨日の帰り、なんで蓮君と相合傘して帰ってたの?茉菜ちゃんさ、宮下君と付き合ってるよね?なのになんで?」
亜衣ちゃんは、私が思ってた以上に怒ってたのか、いつもの明るい笑顔は少しもなくて。
私を見る目は、すごく冷たかった。