もう君がいない
「ねぇ、茉菜ちゃん。お願いがあるんだけど。」
「ん?なに?」
さっきまでの態度が嘘のように、急にいつもの亜衣ちゃんに戻った。
「あのね?蓮君に、好きな人がいるか聞いてほしいな〜って。」
「えっ?」
「それとね?それとなく、私のことどう思ってるか、聞いてもらえないかな?」
そう言った亜衣ちゃんは、少し恥ずかしそうに目を伏せた。
ほんのり赤くなる顔。
本当に恋してるんだ、そう感じた。
「わかった。」
「本当?本当にいいの?」
「もちろん。」
「ありがと〜!!」
目をキラキラ輝かせて喜ぶ亜衣ちゃん。
本当は嫌だった。
蓮に、亜衣ちゃんをすすめるってことでしょ?
そんなこと、、
できればしたくない、それが正直な気持ち。
でも、嘘をついた亜衣ちゃんへの罪悪感、
それから、ここ最近ずっと気持ちが揺れてることへの罪悪感、
いろんな罪悪感から、私は亜衣ちゃんの頼みを聞くことにした。
目の前で喜ぶ亜衣ちゃんを前に、いまさら嫌だなんて言えない。
、、今日の帰りに蓮に話そう。
私はそう心に決めた。