もう君がいない


「ここだよ、蓮の家。」

「そうなんだ〜!綺麗なお家〜!」


放課後、約束通り亜衣ちゃんを蓮の家まで連れてきた。

途中コンビニに寄って、ゼリーとかプリンとかカットフルーツとか、差し入れにっていっぱい買った亜衣ちゃん。


亜衣ちゃんの手に下がるコンビニの袋を見ると、悔しくて、悲しくて、、

本当は、私が持って行きたいくらい。

蓮の風邪だって心配だし、顔を見なきゃ落ち着かない。


カットフルーツの中にパインが入ってること、何も教えてあげなかった私は、本当に性格が悪い。

蓮は、パインは好きじゃないんだ。

昔食べ過ぎて舌がしびれて、それ以来は食わず嫌い。


嫉妬してる、亜衣ちゃんに。

周りにいくらでも蓮のことが好きだと言えて、堂々とできて、うらやましいんだ。

自分が、人を妬んでこんなことするなんて、私も初めて知った。


「じゃあ、私は帰るね。」

「うそ?一緒に行かないの?」

「うん。私はいいや。」


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