もう君がいない
すれ違う
蓮が風邪を引いて休んだのが木曜日。
続けて金曜も休んだから、土日を挟んで、蓮に会うのは4日ぶりだった。
朝から教室に入った途端、
「茉菜、ちょっといい?」
やっぱり相当怒ってるのか、冷たい声で蓮に話しかけられ、私はうなずいて蓮の後について行った。
教室を出る時、心配そうな顔でこっちを見ていた美雪。
目の前を歩いているのに、
すぐそこに蓮の背中があるのに、
手を伸ばせば触れられるはずなのに、
それを絶対に許さないほど、完璧に私に壁をつくっている雰囲気が伝わってくる。
屋上への階段の途中の踊り場。
立ち止まった蓮は、私に背を向けたまま、何も話さなかった。
蓮の話はわかってる。
私は沈黙に耐え切れず、自分から謝った。
「ごめんなさい。怒ってるんだよね?私が、亜衣ちゃんを蓮の家に連れて行ったこと。」
何も答えず、黙ったままの蓮。