もう君がいない
「蓮が、運んでくれたの?」
「ああ。見学して暇してんの俺だけだし。」
「そっか。ありがと。」
「ん。てかちゃんと飯食ってんの?」
「えっ?」
「軽すぎて中身空っぽかと思った。おばさんの飯うめぇんだから、ちゃんと食えよ。」
なんか、ちょっとおかしい気もするけど、
でも、蓮が心配してくれてるのが嬉しかった。
もう、蓮は私のこと嫌いになっちゃったんだって思ってたから。
蓮は、私にこんな風に優しく笑ってくれないって、そう思ってたから。
「もう大丈夫そうだな。俺戻るわ、みんな心配してるだろうし。茉菜はもうちょい休んでろ。」
そう言って、急に立ち上がる蓮。
離れて行こうとする蓮の手を、私は気づいたら掴んでいた。
「どうした?」
不思議そうに私を見る蓮。
ずっと聞きたかった、その優しい声。
「もう少し、、」
「ん?」
「もう少しだけ、ここにいて?」
私、、何言ってんだろ、、