もう君がいない
俺と茉菜が出会ったのは、生まれてすぐだ。
生まれた時から、ずっと側にいた。
物心ついた時から、ずっと一緒にいた。
生まれつき心臓が弱い俺を、いつも茉菜が守ってくれたんだ。
親になんて言われたのか知らねぇけど、茉菜はずっと俺の側を離れなかった。
そんだけ近くにいれば、好きになったっておかしくないだろ?
気づいたら、茉菜が好きだった。
茉菜に、恋してたんだ。
いつだって茉菜がいたから、俺は寂しくなかったんだ。
茉菜がいたから、毎日楽しかった。
茉菜のために、病気と闘ってこれたんだ。
小6の冬、担当医からアメリカの病院を紹介された。
子どもの心臓病に関しては、世界一と言われるほどの医者がいて、その医者なら俺の病気も治せるかもしれないと。
両親も賛成し、アメリカ行きが決まった。
最初は嫌だった。
茉菜と離れるってことが、何より嫌だった。