もう君がいない
「光貴!」
「なんだよ、急に。」
私は立ち止まって、力が入りすぎてあまりに大きな声で光貴の名前を呼んだ。
振り向いた光貴は、驚いた顔をしていた。
私は、光貴の目を見た。
まっすぐに光貴を見て、しっかりと目を見て話さなきゃって思った。
「ごめん、いきなり。でも、光貴に話したいことがあって。」
「なに?」
「あのね?あの、、」
次の言葉が、すんなり出てきてくれない。
心臓がバクバクいってる。
緊張で全身の筋肉がこわばる。
「私と、、私と、」
別れてほしい、そう言おうとしたのに、、
「あのさ、」
光貴がそれをさえぎった。
「え?」
「いや、俺も茉菜に話したいことがあったからさ、先に言ってもいい?」
「えっ、ああ、うん。なに?」
いきなり光貴に止められたから、私はどっと疲れてしまった。