もう君がいない
「茉菜、聞いてもいいか?」
「うん、何?」
自分から投げかけて、なかなか次の言葉を言わない蓮。
「蓮?どうしたの?」
ゆっくり顔を上げた蓮と、視線がぶつかる。
「あの宮下って奴と、付き合ってるのか?」
「えっ、、」
私は、言葉に詰まってしまった。
どうして、わかったの、、?
ううん、そんなことより、、
どうして私は、すぐに答えられないの?
どうして私は、蓮から目をそらすの?
どうして、、?
「茉菜?」
蓮の声。
昔よりも格段に低くなって、でも、やっぱり昔と変わらない、その優しさのある声。
言わなきゃ。
「うん。付き合ってる。」
私は視線をそらしたまま、小さな声で答えた。
「そっか。」
そう言って、黙り込む蓮。
蓮がどんな顔をしてるのか気になって、私はそっと、視線を蓮に向ける。