もう君がいない
決戦の日
あちこちから聞こえる、セミの鳴き声が耳をこだまする。
ジッとしてても汗が首筋をつたうのがわかる。
空を見上げれば、雲ひとつない爽やかな青空広がっていて、
眩しくて目を細める。
「茉菜〜!お待たせ〜!」
手を振りながら、急ぎ足でこっちにくる美雪。
「ごめんね、待ったでしょ?」
「ううん、全然大丈夫。」
「行こっか。スタジアム行きって、何線の電車だっけ〜?」
そう。
今日はついに決戦の日。
光貴の大事な試合の決戦でもあり、
私自身の決戦でもある。
「ふぅ〜涼し〜!」
電車に乗り込むと、冷房が効いていて少し肌寒いくらいだった。
隣の美雪は、暑い暑いと言いながら、パタパタと手で顔周りを仰いでいた。