もう君がいない
ちょうどコートの半分辺り、一番前の列に美雪と並んで座る。
ベンチ側だから、近くで光貴や里中君を見れるはず。
「いよいよだね。」
「うん、、」
試合の開始時刻が迫るにつれ、私は自分が試合に出るのかってくらい緊張してきて、、
「どうしよう美雪〜!」
「わかったわかった、はい落ち着いて。吸って〜、吐いて〜、」
そんな私に、美雪が深呼吸させてくれる。
これもいつものことだった。
試合が始まる前、光貴達が入場する前に、
私は緊張がMAXになって、一人であたふたしてきちゃって、
そんな私を、美雪が落ち着かせてくれる。
このお決まりの流れも、今日で最後かもしれないのか、、
そう思うと、やっぱりどこか寂しい気がする。
「あっ!茉菜!入ってきたよ!」
美雪の声でコートを見れば、審判に続いて、両チームの選手達が入場してきた。
私は光貴の姿を探す。
、、いた。
背番号、10番。
光貴の背中が目に映った。