もう君がいない
「たぶん、今ごろ、お袋と親父が荷物片付けてると思う。今日、戻ってきたから。」
「そうなんだ。おばさんとおじさん、元気?」
「ああ、相変わらずだよ。」
「そっか、良かった。」
蓮のお母さんとお父さんは、すごく仲が良くて、おしどり夫婦なんだよね。
「お袋と親父も、茉菜や茉菜の親に会いたがってたから。」
「本当に?嬉しい。」
「だからさ、一緒に帰って、会ってやってほしいんだ。」
「うん、もちろんだよ。」
それから、私達は二人で学校を出て、一緒に帰った。
歩いてる時も、電車で座ってる時も、なんだか少し距離があって、、
それが少し、切なかった。
でも、変わらないこともあって。
道を歩く時は、蓮が車道側を歩いてくれること。
ませガキだって思うけど、小学校の頃も、登下校の時は、必ず蓮が車道側を歩いてくれた。
あんまり口数が多い方ではない蓮。
こういう些細なことから、蓮の不器用な優しさが、伝わってくるんだよね。
昔からそうだった。
何気ないところに、蓮の優しさをしっかりと感じて、それがすごく嬉しかった。