もう君がいない
それを見た美雪は、また私の腕を引っ張って走り出した。
外に出ると救急車が見えて、その周りには、何人かの野次馬のような人達が集まっていた。
そこに向かって走ると、
担架ごと救急車に乗せられる光貴の姿が見えた。
「光貴!!光貴!!」
私は、気づくと大声で光貴の名前を呼んでいた。
でも、私達がその場に着くときには、もう救急車は行ってしまった。
「櫻井さん!?」
「えっ?あの、、」
その場にいた、うちのチームのジャージを着た男子。
誰かはわからないけど、光貴のチームメイトであることは確かだ。
「光貴を追いかけて来たんでしょ?」
「うん、、」
「光貴は、国立病院に向かった。ここから一番近い大きな病院。」
その人は、どうやら私のことを知っているらしい。
「光貴は?光貴は大丈夫なの?」
「わからない。倒れてすぐは脳震とうを起こしてて、今は意識ははっきりしてるけど、右膝を怪我したみたいで。」
「そんなっ、、!」
「とにかく、国立病院に向かうといいよ。てか、早く光貴の所に行ってあげて。」