もう君がいない
私は、もう涙が止まらなくて、、
何が何だかわからないまま、ただ泣いていて、、
「ありがとう。」
美雪が私の代わりにお礼を言ってくれて、また私の手を引いて通りに出ると、すぐにタクシーを捕まえてくれた。
「国立病院までお願いします!急いで下さい!」
運転手さんにそう告げると、
「茉菜、大丈夫。宮下君なら、きっと大丈夫だから。」
そう言って、何も出来ずに泣き続ける私を、そっと抱きしめてくれた。
私は、、
涙と震えが止まらなくて、、
ただ、ずっと、
光貴の苦しそうな表情が、頭に焼きついて離れなかった。
光貴、、
お願いだから、無事でいて、、
ただひたすらに、心でそう願った。
怖くて怖くて、、
きっと美雪がいなかったら、私はどうすることも出来ずに、ただ客席で固まっていたと思う。