もう君がいない
花火 〜 蓮side 〜
「ちょっと蓮〜?あんたまだそんな格好なの〜?早く準備しなさいよ〜?」
「いや、まだ昼間だから。花火大会は夜だろ。」
今日は朝からずっとこの調子のお袋。
俺がリビングでゴロゴロしてたら、今日すでに3度目のこのセリフ。
俺より張り切ってねーか?
まあ、無理もないか。
昨日の夜、俺が茉菜と花火大会に行くことをお袋に教えたら、
俺より喜んでキャーキャー騒いでたお袋。
やっぱお袋も、心配してくれてたんだなって、改めて思った。
俺が昔からずっと茉菜のことが好きだって、お袋も親父も知ってるから。
アメリカから帰ってきて、茉菜に彼氏がいると告げた時は、お袋の表情の暗さが半端じゃなかったもんな。
お袋も親父も、茉菜のことが大好きだからな。
「浴衣も下駄も、準備万端だからね!」
「わかってるって。何回も聞いた。」
「あら?そうだっけ?」