もう君がいない
俺は浴衣を着るなんて一言も言ってないのに、朝起きたらすでに準備されていた浴衣。
男が浴衣なんて、張り切ってる感が出る気がして嫌だったけど、
あまりに喜んでるお袋を見たら、なんだか断れなかった。
それに、、
「浴衣姿の二人が並んで歩くのって素敵よね〜!茉菜ちゃんも絶対浴衣だから!」
って、お袋が言うから、、
少しだけその気になった自分がいた。
それも悪くないな、なんて。
「待ち合わせは何時?」
「特に決めてない。茉菜が昼間用があって出てるから、帰ってきたら連絡してくる。」
俺はそう言って、壁にかかってる時計に目をやった。
2時か、、
光貴の試合、1時からって言ってたな。
どうなってるかな、、
光貴と拓弥のことだ。
絶対勝つに決まってるよな。