もう君がいない


搬送されてきた光貴は、すぐに頭部や足の検査を行った。


その結果、脳震とうを起こして心配されていた頭部には異常がなかった。


でもその代わり、、


顔を歪めて痛がっていた右膝が、、


最悪の状態だった。



難しい言葉が並べられて、詳しいことはわからないけど、


右膝の前十字靭帯が断裂、、

そしてさらに、外側半月板の損傷、、


手術をして、リハビリをすることになるけど、、


絶対に復帰できるとは言えないし、もし復帰できたとしても、復帰までに最低8ヶ月はかかる。

しかし、怪我自体が治ったとしても、慢性的な痛みが残ったりして、今までどおりにサッカーをすることは難しいかもしれない。


お医者さんにそう言われたそうだ。



「そんなっ、、」

隣で一緒に聞いていた美雪も、悔しそうに唇を噛み締め、涙を流していた。


「あの、光貴は、、?」

「もう病室に入って、今は痛み止めの点滴を受けてる。あいつもさっきこの話を聞かされたばかりで、よく飲み込めていないと思う。」


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