もう君がいない
「茉菜、、高梨、、」
光貴は、私達だと確認すると、その視線を窓の方へと向けた。
その目は、、
死んだ魚のような目をしていた。
「光貴、、あのっ、」
「だせーな、俺。」
私が話そうとしたら、光貴がそれをさえぎった。
「何やってんだろうな。茉菜と高梨も観に来てくれてたのに。まじダセー。」
「そんなことっ、、」
「これからだったのにな。これから逆転するとこだったのに。」
「光貴、、」
「茉菜に、もっと見て欲しかったのにな。勝って、茉菜に喜んで欲しかったのに。」
「こ、うき、、うぅっ、、」
病室に入る前に止めたはずの涙が、また溢れ出してくる。
とどまることを、少しも知らない涙。
「私、外にいるね。」
美雪はそう言うと、静かに病室を出た。