もう君がいない


美雪がドアを閉めると、光貴はベッド横のボタンで上半身の方を上げ、座った状態になって私と目を合わせた。


その目には、今にもこぼれ落ちそうなほどにたくさんの涙があって、、


「茉菜、、俺、、」

光貴が何かを言おうとした時、その涙は光貴の頬を滑り落ちていった。



「、、光貴!!」

私はベッドの横に駆け寄り、光貴を抱きしめた。


私の腕の中にいる光貴は、小さく震えていた。

私の背中に腕をまわし、服をキュッと弱々しく握りしめた。


普段の光貴からは考えられないような、

もろく、弱々しい姿、、

光貴が泣いたのは、いつぶりだろう、、



「茉菜、、」

「ん?」

「俺、俺、、サッカー、、」


そこまで言いかけて、言葉につまる光貴。

私はそんな光貴を抱きしめる腕に力を入れ、もっと強く抱きしめた。


「嫌だ、、嫌だ、、」

光貴の、今にも消えてしまいそうな小さな声が聞こえた。


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