もう君がいない
私は、ただ黙って光貴を抱きしめることしかできなくて、、
そっと背中をさすることしかできなくて、、
自分の無力さが悔しくて、、
自分の不甲斐なさがもどかしくて、、
光貴が落ち着くまで、ずっとそうしていた。
「ごめんな、かっこ悪いとこ見せた。」
泣きやんだ光貴は、そう言って、切ない顔して笑った。
「ううん、そんなことない。かっこ悪くなんてないよ。」
「ん。さんきゅ。」
それから、私達は何をするでもなく、ただ手をつないでいた。
光貴はまたベッドを倒して横になり、私はベッド横のイスに座って、
光貴の左手を、両手でそっと包んでいた。
しばらくすると、光貴は眠ってしまった。
起こさないようにそっと手を離し、私は病室の外に出た。