もう君がいない
高2の夏
「茉菜〜?ほらこれ、お庭に綺麗に咲いたのよ〜。光貴君のお部屋に飾ってあげて?」
そう言って、玄関までパタパタと走ってきたお母さん。
「わぁ、綺麗!ありがとう、じゃあ行ってくるね!」
「気をつけてね。」
「は〜い!」
私はお母さんから受け取った向日葵を持って、家から駆け出した。
あれから、、
光貴がケガをしたあの日から、もう3週間が経とうとしていた。
夏休みも、明日で終わり。
高2の夏が、終わりを迎えようとしていた。
あの日から、私は毎日光貴のお見舞いに行くのが日課になっていた。
朝は検査とかリハビリとかが忙しいから、いつもお昼過ぎに着くように行き、夕方に家に帰る生活。
幸いなことに、光貴の手術は無事に終わり、今はリハビリを頑張っている真っ最中。
辛いはずのリハビリにも、弱音を吐くことなく必死に取り組んでる光貴。
光貴は、まだサッカーを諦めていないんだ。
高校のサッカー部に戻ることは、期間的にも難しいかもしれないけど、、
でも、いつか必ずまたサッカーをやりたい。
光貴は、力強くそう言ったんだ。