もう君がいない
あの頃の私にとって、蓮が全てだった。
蓮がいない毎日なんて、考えられなかった。
蓮のことが、大好きだった。
「小学校卒業したら、アメリカに行くことになった。アメリカに、俺の病気を治してくれるお医者さんがいるんだって。」
「アメリカ、、?」
アメリカ行きを告げられたのは、小6の冬、年を越してすぐのことだった。
「アメリカって、、蓮、遠くに行っちゃうの?いなくなっちゃうの?」
「ごめん。」
「やだ!行かないで!」
「ごめん。」
蓮がいなくなることを受け入れられずに、嫌だ嫌だと泣き続ける私に、蓮は何度も謝ってくれたよね。
病気を治すためだと、何度もお母さんやお父さんに聞かされた。
そんなことわかってる。
蓮には、元気になってほしい。
でも、蓮と離れ離れになるなんて、会えなくなるなんて、
あの頃の私には、受け入れられなかったんだ。
でも、私のワガママではどうにもならない。
気がつけば、小学校の卒業式も終わり、いよいよ明日、蓮はアメリカに行く。
しばらく会えなくなるからと、うちの家族と蓮の家族、みんなで蓮の家に集まって食事した。