もう君がいない


「俺も様子見に行きたいのは山々なんだけど、部活があるから行けなくて。」

「茉菜、今日帰りにでも蓮君の様子見に行ってみたら?拓ちゃんもこう言ってるし、私も心配だからさ。」

「えっ、、」

「茉菜ちゃん、俺からも頼むよ〜。」


事情をわかってる上で、それでも蓮に会いに行けと勧める美雪に、

目の前で手を合わせて懇願する里中君、


私だって、、

そりゃ心配だけど、、

蓮に会いに行きたいけど、、


「茉菜、行ってあげて?」

「美雪、、」

「茉菜も心配なんでしょ?心配してお見舞いに行くのもダメなの?それさえも?」

「え?なになに?何がダメなの?」

「ちょっと拓ちゃんは黙ってて。」

「ひどいよ、美雪ちゃ〜ん。」


お見舞い、、

そう、お見舞いに行くだけ。

1週間も学校を休んでいる幼なじみを、心配してお見舞いに行くだけ。


そうなんだけど、、

たったそれだけのことなんだけど、、


ここまで蓮との関わりを、おばさんとおじさんとの関わりを、できるだけ避けてきた私にとって、

蓮の家に行くことは、簡単にできることじゃなかった。


でも、、

でもやっぱり、、


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