もう君がいない
手と手
ピンポーン、、
蓮の家の玄関、
チャイムを鳴らすと、すぐにインターホンからおばさんの声が聞こえた。
「は〜い、どちら様〜?」
「あ、おばさん、私です。茉菜です。」
「え?茉菜ちゃん?すぐ開けるから待ってね!」
おばさんがそう言うと、すぐに中からドタバタと慌てた足音が聞こえ、勢い良く玄関のドアが開いた。
そして、私の顔を見て、パッと満面の笑みを浮かべたおばさん。
「あら〜茉菜ちゃん!いらっしゃい!」
「いきなりすいません。ご無沙汰してます。」
「いいのよ〜!本当に久しぶりね〜!ささっ、入って入って〜!」
「お邪魔します。」
おばさんに腕を引かれ、いつぶりかもハッキリわからないほど、久々の蓮の家へと入った。
「あ、おばさん。これ、良かったら、」
私は、さっき買ってきたばかりの花束を、おばさんに差し出した。
「まぁ!買ってきてくれたの〜?それも、私の大好きなガーベラ!」
「はい。」
「ん〜いい香り〜!ありがとう!すぐに飾っちゃお!あ、今日はもしかして、蓮のお見舞いに来てくれたの?」
おばさんは、嬉しそうに花瓶の準備を始めた。