もう君がいない
「あ、はい。1週間も休むから、ちょっと心配になって。蓮の様子はどうですか?」
「大丈夫よ。もうほとんど治ってるんだけどね、念のために、今日まではお休みさせてもらったの。」
「そうですか。」
おばさんのその言葉で、私はホッと一安心した。
「良かった。本当にただの風邪だったんですね。」
「えっ?」
私がそう言うと、おばさんは一瞬、すごく驚いたような、、
なんとも言えない表情をして、私を見た。
「いえ、あまりに長く休むから、本当にただの風邪なのか心配だったんです。」
「あ、ああ、そうね。ちょっと、タチの悪い風邪だったみたい。」
そう言って笑うおばさんだったけど、その笑顔は、どこかぎこちないような気がした。
でも、すぐにいつものおばさんに戻って、、
「さぁ、早く蓮の部屋に行ってあげて!蓮もきっと喜ぶわ〜!」
って、私の背中をぐいぐい押して、階段へと連れて行った。
私の気のせいだったのかな、、?
少し不思議に思ったけど、それよりも、久しぶりに蓮に会うことへの緊張が大きくて、、
おばさんのことは、すっかり気にならなくなってしまっていた。