もう君がいない
眠ってなんかいなかった。
茉菜がすぐ側にいて、俺の手を握ってくれてるのに、
眠れるわけないだろ?
遠慮がちに、そっと開けられたドアから、
そっと覗いた、緊張した茉菜の姿。
その瞬間から、俺の心臓がやばいくらいに騒ぎ出した。
このうるさい音が、茉菜に聞こえはしないだろうか、、
そう不安になるほど、俺の心臓は跳ね上がっていた。
茉菜がこんなに近くにいるのは、いつぶりだ?
茉菜が、俺の目を見てくれたのは?
ここしばらく、、
あの、花火大会の後から、、
茉菜は、完全に俺のことを避けていた。
表向きは普通でも、確実に、少しずつ、、
俺との距離を取るようになった。
これで何度目だ?
近づけば近づくほど、今度は遠くなる。
俺が帰ってきてからずっとだ。
でも、今回はいつもと違った。
距離を取ったのは、茉菜の方だったから。