もう君がいない


茉菜が差し出した袋の中にあった、

俺が、昔からずっと好きだったプリン。


そんな些細なことを、茉菜が覚えてくれていただけで嬉しくて。

ずいぶん前の、小さな喧嘩を覚えてくれていただけで泣きそうになった。


一つ一つ、、

俺が大切にしまっていた茉菜との思い出を、

同じように、茉菜もしまってくれていた。


それが、たまらなく幸せだった。


どれだけ、茉菜を抱きしめたいと思ったか、、

きっとあいつはわかってない。



なぁ、茉菜?


さっきの言葉、、信じていいんだよな?

茉菜は、俺のことが好き?


本当は、すぐにでも目を開けて確かめたかった。

本当か?俺のこと好き?って、、


そして、俺も好きだと言いたかった。

ずっと好きだったと伝えたかった。


でも、、

そんなこと出来るわけない。


茉菜が、俺を避けるようになった理由。

茉菜が、面と向かって俺に好きだと言えなかった理由。

茉菜が、泣いていた理由。


それを考えれば、

自分の気持ちを勝手に伝えて、茉菜を引き止めるようなこと、

そんなこと出来るわけがないだろ?


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