もう君がいない
別れの時
「こ!う!き〜〜!!!」
「うわっ、ばか!まじでやめろって!」
秋も終わりを迎えそうな、そろそろ冬の訪れを感じ始めた頃。
光貴が、戻ってきた。
昨日無事に病院を退院して、今日から学校に来れることになったんだ。
まだ松葉杖が必要だけど、それでも、確実に回復している。
朝から光貴と教室に行くと、
すでに教室にいた里中君が、とてつもないスピードで光貴の元へ飛んできて、光貴に抱きついた。
光貴は、そんな里中君を必死に振りほどこうとする。
「宮下君、おかえり〜!」
「おかえり、光貴。」
里中君に遅れて、美雪と蓮も、私達の元へと集まった。
「ああ〜、久しぶりの光貴だ〜!」
「おい、誰かこいつをどうにかしてくれよ。」
「う〜ん、それは無理そうだね〜。拓ちゃん、本当に宮下君の帰りを待ってたから。」
「さっきからずっと、光貴はまだか〜って、一人で騒いでたもんな。」
「いや、みんな拓弥の味方かよ!」
私は、そんなみんなのやりとりを見ながら、クスクスと笑っていた。