もう君がいない
私と光貴
光貴と出会ったのは、中学校。
入学式の日、光貴が声をかけてくれたんだ。
美雪と歩いて登校したら、中庭にクラスが張り出してあって、でもすごい人だかりで、背の小さい私は、あっという間に人混みにもまれた。
人に押されて転びそうになったとき、誰かが私の腕を引いて、支えてくれた。
「大丈夫?」
「うん。ありがとう。」
それが光貴だった。
「あっ、茉菜!良かった〜どこ行ったかと思ったよ〜。あれ?あの〜、、」
はぐれた美雪が、私のことを見つけてかけ寄ってきて、私の腕を掴んでる光貴を、少し警戒した目で見る。
そこでハッとしたのか、光貴は掴んでいた腕を離した。
「あっ、この人はね、人に押されて転びそうになった時、腕引っ張って助けてくれたの。」
「えっ、そうなの?すいません、茉菜が迷惑かけちゃって〜。」
美雪は私の保護者かのように、光貴にペコっと頭を下げる。
さっきまで威嚇してたのが嘘かのよう。