もう君がいない
さぁ、そろそろ俺も帰ろうか。
気づけば、辺りは夕日に染まったオレンジ色から、深い闇に包まれようとしていた。
夜になると、もう寒さを感じる季節。
人の温もりを、身をもって感じる季節。
寒がりな茉菜、、
どうか、茉菜が寒くて冷たい世界に閉じ込められませんように。
俺はもう、茉菜の隣で寄り添うことはできないけれど、
茉菜の心を、ホッと温めてあげることはできないけれど、
すぐ側で、直接温めるカイロのようにはなれないけれど、
茉菜の中に入って、内側から温められるココアのようにはなれないけれど、
茉菜、、どうか、寒さに凍えないで。
蓮、、
、、、茉菜を頼んだからな。
蓮ならきっと、俺のように簡易的に温めるのではなく、
冬を通り越して春が来たかのような、
そんな大きな温もりで、茉菜を包み込んでやれるだろ?
そしたら俺は、、
今度は暖炉にでもなってみようと思う。
ピタッと茉菜にくっつくことはなくても、
直接温めることは出来なくても、
少し離れたとこからでも、ふわっと茉菜を温めることができるように、、、
炎を眺めるだけで、どこか心が温かくなれるように、、、
少し離れたところから、茉菜を見つめて温めてあげよう。
蓮という温もりに、茉菜が包まれるまで、
もう少しの間だけ、、、。