もう君がいない
「にしても、二週間前からそのテンションって、当日どうなるのか心配だよ。」
「今日からカウントダウンしてくから、どんどんテンション上がってくよ〜!」
「だから、それが怖いんですけど、」
昔っから、遠足とか修学旅行ってなると、
びっくりするくらいハイテンションの美雪。
こうして一人でカウントダウンとか始めちゃったり、、
気持ちが早まりすぎて、一週間前には荷物を詰め込んじゃったり、、
中学の時は、修学旅行には新しい下着がいる!
とかなんとか言う美雪に、買い物に付き合わされたり、、
イベント事が大好きなんだよね、美雪は。
「おはよ。」
そんな美雪と話していると、後ろから聞こえてきた声。
もちろん、声だけで誰かわかってしまう私は、満面の笑みで振り向く。
「おはよ、蓮。」
「蓮くん、おはよ〜!」
その声の主は、もちろん蓮で、、
おはようと返すと、蓮も笑顔を返してくれる。
そんな普通の朝だけど、
それが、私にとっては何よりも幸せ。
そんな私に気を遣ってか、美雪はすぐに里中君の方へと行ってしまった。
「なんか、美雪ちゃんいいことあった?」
「え?なんで?」
わざわざ私の耳元に顔を近づけて、いつもより小声で話す蓮に、
私の心臓が、ドキンッと大きく跳ねる。