もう君がいない
「中学の修学旅行さ、俺はいなかっただろ?小学校の頃は、茉菜はもちろん美雪ちゃんとも、あんなに一緒にいたのにな。」
「蓮、、」
「知らないことなんて何もないくらい、ほんといつも一緒だったのに、」
遠くを見つめるような、そんな蓮の目。
その目には、まだ小さかった私達が映っているのかな、、?
蓮と、美雪と、私、、
何をするにもいつも一緒だった。
3人での思い出は、数え切れないほど。
全てを語りつくせないほど。
「茉菜と美雪ちゃんには、俺の知らない思い出があって、俺の知らない時が流れてて、そこに俺だけいなかったんだなって。俺は、その思い出を共有できないんだよな。」
蓮だけがいない、
蓮だけが知らない、
私達だけの思い出、、。
、、、すごく、切なくなった。
そこには蓮もいたはずなのに、、
蓮だけが、共有できない、、。
「なんかごめん。朝から重いな。」
「ううん、そんなことないよ。」
「ん、さんきゅ。」
そう言って、フワッと笑った蓮は、自分の席へと行ってしまった。
すぐに里中君達がかけよってきて、いつものように笑顔になる蓮。
そんな蓮を見つめることしかできなくて、、
あんなに寂しそうな顔をした蓮に、私は何も言えなかった。
何も、、
それが悔しかった。