もう君がいない


「でもね?そこでまた気づいたことがあるの。気づいたっていうか、思いついたの。」

「なに?」

「確かに、その一つ一つの瞬間は一緒にいれなかった。その時に共有することはできなかった。」

「うん?」

「でも、今もこれからも、ずっと共有できないってわけじゃないと思うの。」



蓮が楽しかった時、一緒に楽しむことはできなかった。

蓮が嬉しかった時、一緒に喜ぶことはできなかった。

蓮が悲しかった時、一緒に悲しむことができなかった。

蓮が苦しかった時、一緒に考えて、隣で支えてあげることはできなかった。


でも、、

でも、、、



「話そう?いっぱいいっぱい話そうよ。」

「話す?」

「うん。私達が離れていた4年間、どんな風に過ごしてきたのか。どんなことがあって、どんな気持ちだったのか。」


わからなければ聞けばいい。

伝え合えばいい。


だって、私達はいま、、


またこうして、一緒にいるんだから。



「どんなに仲の良い家族でも、友達でも、恋人でも、話さなきゃ伝わらないこともあるでしょ?それと同じだと思うの。」


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