もう君がいない


どれだけ長い時間を過ごそうと、

どれだけ相手を思っていようと、


お互いがきちんと向き合って、きちんと言葉にして、

自分から伝えなきゃ、相手にはわからないことが絶対にある。


伝えようとしなきゃ、相手には伝わらない。



「何も知らないから、わからないから、だから聞きたい。蓮の話。知りたいの。蓮が、どんな4年間を過ごしたのか。」


聞こうとしてなかった。

知ろうとしてなかった。


だから、わかるはずもなかった。

共有なんて、できるわけがなかった。



「それから、私の4年間も知ってほしい。私の思い出も、蓮に伝えたいの。たくさん話して、写真とか見たりして。」

「茉菜、」

「そうすれば共有できるよ?その時に戻ることはできないけど、でも思い出も、その時の心も、きっと共有できる。」



みんな普通に日頃からやってるんだ。


今日は学校でこんなことがあったんだよ、って話したり、

これが仲の良い友達だよ、って写真見せたり、


会えない間こんなことしてたよ、これだけ寂しかったよ、って伝えたり、


そうやってみんな、お互いを理解する。



私達も、そうできるはず。


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