もう君がいない
「それ、俺にも送っといて。」
「ん?」
「写真、」
「あ、うん!」
二人で撮った写真を、二人で持ってる。
そんな当たり前のことも、なんだかくすぐったい感じがする。
蓮も、この写真を自分の携帯に入れてて、
それを見返したりして、
楽しかったなって、思い出してくれたりするのかな?
そんな蓮を想像すると、嬉しくなった。
「茉菜〜!蓮く〜ん!行くよ〜!」
「はーい!」
少し離れたとこから手招きする美雪。
「蓮、行こ?」
「ああ。」
頷いた蓮は、
「じゃあな。元気でな。」
鹿さんにお別れの挨拶をしてて、その姿がかわいくて、
そんな蓮を、私はこっそり写真に収めた。