もう君がいない
「拓ちゃん達も似合ってるじゃん!」
「せやろ?せやろ?」
美雪の一言で調子に乗りだす里中君は、今日もエセ関西弁を貫くみたいだ。
でも本当に、、
美雪の言う通り、この3人、、
着物に着替えさせて正解だ!と思うほど、いつもの3割増しでかっこよく見える。
3人とも、落ち着いた色味のシンプルな着物だけど、
それが逆に大人っぽくて、、
男の人の着物姿って、なんだか哀愁があって、、
「さぁ、みなさん。早く出ないと、時間がもったいないですよ。」
「あ!せやった!みんな早よ行こや!」
お店の方のその言葉で、せっせと動き出した里中君。
「行ってらっしゃい。」
「お気をつけて。」
お店の方々に見送られて、私達は京都の街へと足を踏み出した。
私は、まだムズムズしてた。
里中君と公貴は、
「似合ってる」とかって、私と美雪に声をかけてくれたのに、
蓮が、うんともすんとも言わないから。