もう君がいない
それから私達は、本当に楽しい1日を過ごした。
有名な観光名所を巡ったり、
おいしいモノもたくさん食べた。
初めて人力車にも乗ったし、
綺麗な紅葉も見れたし、
着物が珍しいからか、外国人観光客の人に写真を撮られたりもした。
たくさん撮った写真とともに、
たくさんの思い出ができた。
ふざける里中君がいて、
それにつっこむ美雪がいて、
そこに巻き込まれる公貴がいて、
それを見て一緒に笑う蓮がいて、
大好きな4人と、いつものように、でもいつも以上に笑った。
こんな時間がずっと続けばいい。
これからもこうして、みんなと一緒にいたい。
みんなでたくさん笑って、
みんなでもっともっと思い出を作りたい。
このときの私の願いは、ただそれだけだった。
そしてその願いは、当たり前に叶うものだと思っていた。
みんなとずっと一緒にいれる。
みんなとずっと笑ってられる。
そんな未来が、当然あるものだと。
でも、この世に当たり前なんかない。
こんな普通の幸せは、当たり前なんかじゃなかったんだ。