もう君がいない
「茉菜の話、だよな?」
公貴は、手に持った缶を見ながら、そう言った。
やっぱり、わかってたんだな。
わかっていて、わざわざ聞きたくないであろう話に、耳を傾けてくれるんだ。
公貴、、
どんだけ強いんだよお前は。
どこまでいいやつなんだ。
俺がこんなこと言うのは失礼だけど、、
でも、、
茉菜がお前を好きになった理由がわかるよ。
茉菜のそばにいてくれたのが公貴でよかった。
「やっぱり、公貴には敵わないな。」
「何言ってんだよ。」
そう言って、フッと笑った公貴の横顔は、何とも言えない哀愁を帯びていて、、
俺なんかじゃ、到底届かないところにいる気がした。
「蓮が部屋を出ていくときに、なんとなくそんな気がしてたんだ。いよいよかなって。」
「そっか。」
どんな気持ちだったんだろう、、。
そんな俺を、見送ったときの気持ちは、、