もう君がいない
「まぁ、さすがだな。」
「あぁ、さすがだよ拓弥。」
「えっ?なになに?俺褒められてんの?」
どこまでもめでたいアホ。
おかげで、しんみりした雰囲気もあっという間に吹き飛んだ。
「拓弥、俺にもそのめでたい頭くれよ。」
「ん?どういう意味?」
「公貴、頼むからやめとけ。」
「え?だからどういうこと?」
俺たちは、消灯時間もとっくに過ぎている夜中だということも忘れて、
こんな感じでゲラゲラと、くだらないやりとりで笑いあった。
長くしないうちに、声を聞きつけた見回りの先生に見つかり、三人で叱られたのは言うまでもない。
でもな?
こんなこと言うと恥ずかしいけど、、
三人でバカ言って笑いあったのも、
三人で叱られたのも、
全部、楽しくて楽しくて仕方なかったんだ。
それすら、俺にとっては一つの思い出なんだ。
だって、俺、初めてだから。
学校で、こんな風に男友達ができたのも。
こうやって、友達と腹を割って話すのも。
くだらないことで笑いあうのも。
友達と夜中まで騒いで、先生に叱られるのも。
全部、俺にとっては初めてのこと。
高2にもなって、やっと知ることのできたことなんだ。
ありがとな。
公貴、拓弥、