もう君がいない
「ほら拓ちゃん!メソメソしてないで、なんか言うことは?」
美雪がそう言って、里中君の背中を叩くと、
いきなりビシッと背筋を伸ばして、ぐちゃぐちゃの顔を上げた。
「茉菜ちゃん、蓮、おめでとう!」
はっきりと、そう言ってくれた。
「あ、ありがとう。」
「さんきゅ。」
私達がお礼を言うと、
「俺、二人のこと大好きだから!」
、、って。
「うるさ、」
「もう!何かしら余計なんだから~。」
公貴と美雪は、そんな里中君に呆れて笑ってたけど、
私は、すごく嬉しかった。
だって、里中君は、元はと言えば、公貴の友達なわけで、、
公貴を通じて、私や美雪、
そして、蓮とも友達になってくれた。
だから、里中君にとって、私は、、
”親友を裏切った女”とも言えるわけで、、
蓮のことだって、
”親友の彼女を略奪したヤツ”でもあるわけで、、
それなのに、そんな私達に、”おめでとう”って言ってくれた。
こんな私達のことを、”大好き”って言ってくれた。
本当に、私は周りに恵まれている。