もう君がいない
「ちょっと蓮~!」
「ん~、」
「ん~じゃない!起きて!起きろー!」
私は、ソファーで寝ている蓮が、ミノムシのようにくるまっている毛布を必死にはぎとる。
「れ~ん!ねぇってば!蓮!」
それでも一向に起きない蓮を見て、
「知らないからね!覚悟しろ!」
そう言って、リビングからダイニング、
さらにはキッチンの方まで、全部の窓を全開にしてやった。
極めつけに、ついていた暖房を冷房に変え、
最低温度にして風量を最大にする。
すると、、、
「さっっっっっぶ!!」
たちまち目を開けて凍える蓮。
目の前で腕を組み、仁王立ちしている私を見つけると、
「茉菜?何で、、てかさみっ!」
と、状況を理解できてないご様子。
「目覚めた?」
「覚めたもなにも、なんだこれ。」
とりあえず、蓮がソファーから起き上がったので、
私は冷房を止め、部屋中の窓を閉めて回る。