もう君がいない
あの場所で
電車に揺られて、けっこう長い時間経った。
「ここだよ。」
そう言った蓮に、つないだ手を引かれて降りた駅。
「ここ、、」
「覚えてる?」
なんだろう、、
すごく懐かしい気がするんだけど、、
駅名にも見覚えはあるけど、思い出せない。
「ごめん。思い出せない。」
「まぁ、来たのは本当ずいぶん前だしな。」
「蓮は、覚えてたんでしょ?」
蓮が覚えていてくれたことを、自分は覚えていなかった。
それどころか、
どんなに考えても、思い出すことすら出来ない。
それが悔しくて、悲しい。
「実を言うと、俺も最近まで忘れてた。」
「そうなの?」
「ああ。」
「でも、じゃあどうして、」
どうして、蓮は今日、ここに私を連れてきたんだろう。