もう君がいない
「何日か前に、お袋がアルバムを見つけてさ、」
「アルバム?」
「ん。俺達が、まだ小さかった頃の。その中に、うちと茉菜の家族とで、ここに来た時の写真があった。」
「そうだったんだ。」
私達が小さかった頃は、本当によく一緒に出掛けていた。
ちょっとした旅行にも行ってたし、
日帰りで遠出をしたり、
近場のモールに買い物に行くのだって一緒だった。
「ここのことをお袋に聞いたら、たぶん、俺達が4歳くらいの時だろうって言ってた。」
「4歳かぁ、」
4歳っていえば、年中さん?
年中さんの時の事なら、覚えていることもいくつもあるのに、、
どうして思い出せないんだろう。
「まっ、目的地までは、まだこっから少し歩くから。」
「そうなの?」
「だから、そこまで行けば、茉菜も何か思い出すかもな。」
「うん!絶対思い出すから!」
「ははっ、そんな張り切らなくても。」
蓮はそう言うけど、
絶対思い出してみせるんだから。
蓮との思い出を、一つでも忘れているなんて絶対に嫌だ。
蓮と共有できないなんて、絶対に嫌。