もう君がいない
「じゃあ、行くか。」
「道もわかるの?」
「ある程度、お袋に聞いたから。」
そう言って、蓮は私の手を引いて歩き出した。
自然にしてたから忘れてたけど、
蓮に手を引かれて、
手をつないでたんだって、フッと思い出した。
意識しだしたら、なんだかちょっと照れくさくなってくる。
ドキドキしてくる。
何をいまさら、って感じだけど、、
でも、こうした小さな幸せも、
ずっと感じられるような自分でいたい。
蓮は、いつもより少し、のんびりと歩いているみたいだった。
道がはっきりとわかっていないからかもしれない。
でも、私には、
蓮が、一歩一歩、
昔を懐かしみながら、確かめるように歩いている気がした。
そんな蓮が、好きだなぁと思う。
最初のイライラしてた私はどこへやら。
心がほんわり、温かかった。