もう君がいない


それからしばらく歩くと、

遠くから、波の音が聞こえるようになってきて、、


もうすぐ海が見えそう。

それほど近くなったら、、



「茉菜、目閉じて?」

「え、でも、」


いきなり立ち止まって、そんなことを言い出した蓮。


「大丈夫。俺が手を引いていくから。」

「えー、怖いよ。」

「大丈夫だって。頼むから。」

「え~、、」


目を閉じて歩くなんて、怖くてしたくなかったけど、

蓮がどうしても、ってきかないから、


私が折れることにした。




「きゃ~!いまどこ!」

「もうちょっと、」

「やだやだ!もう怖い~!」


ぎゃあぎゃあ言って、腰の引けた私を、

ゆっくり前に引っ張ってくれる蓮。


「あと5歩。4、3、2,1、」


そうして立ち止まった私達。


「茉菜、目開けてみて。」


その言葉で、そっと目をあけてみると、、




「ここ、、ここ、、!」


私は、思い出した。


< 373 / 448 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop